あなたは今、人生の分岐点に立っている。
退職という二文字が、頭から離れない日々を送っていませんか?朝、目覚めた瞬間に襲ってくる重苦しい気持ち。通勤電車の中で感じる言いようのない不安。デスクに座りながら「この会社で本当にいいのか」と自問自答する日々――。
もう限界だ。そう決断したあなたは、勇気を振り絞って退職を決意した。しかし、ここで大きな壁が立ちはだかる。退職届の書き方という、意外にも多くの人が躓く落とし穴だ。
「退職届なんて、適当に書けばいいんでしょ?」そんな甘い考えは、今すぐ捨ててください。実は、退職届の書き方一つで、あなたのその後の人生が大きく変わってしまう可能性があるのです。
特に注意すべきは「自己都合退職」と「会社都合退職」の違い。この違いを理解せずに退職届を提出してしまうと、失業保険の受給開始時期が3ヶ月も遅れたり、受給期間が短くなったり、さらには転職活動で不利になる可能性さえあるのです。
想像してみてください。退職後、生活費に困窮し、貯金が底をつきかけているのに、失業保険がまだ支給されない――。そんな悪夢のような状況に陥るかもしれません。
しかも、会社側は必ずしもあなたの味方ではありません。本来は「会社都合」であるべき退職を、「自己都合」として処理しようとする企業も少なくないのです。営業不振でリストラされたのに、「自主退職してくれないか」と言われ、言われるがままに退職届を書いてしまった――。そんな事例は枚挙にいとまがありません。
知識がないことは罪ではありません。しかし、知らないまま行動することは、自分自身を窮地に追い込む行為です。
たった数行の退職届。されど、そこには法的な効力があり、あなたの権利を左右する重要な文書なのです。記入方法を間違えれば、取り返しのつかない事態を招くことも。
今、この瞬間、正しい知識を身につけるかどうかで、あなたの未来は変わります。退職は終わりではなく、新たなスタート。そのスタートを最良の形で切るために、退職届の正しい書き方を知ることは必須なのです。
これから紹介する情報は、あなたの人生を守る盾となるでしょう。
退職事由とは

退職事由とは、会社を退職する際に退職届へ記入を行う退職理由のことを指します。自らの意志で退職を経験されたことがある方は「一身上の都合」などと退職届に記入したこともあるのではないでしょうか。
テンプレートのように扱われている文言である「一身上の都合」ですが、退職事由の文言というものはその限りではありません。そのため、今回は退職届における正しい退職事由の記入方法などをご紹介させていただきます。
退職届と退職事由の書き方の手順6つ

退職をする際に必要となる退職届ですが、企業専用のフォーマットが通常ありますので、そちらへ記入していきましょう。また、企業によってはフォーマットそのものがない場合もありますので、注意が必要です。
ここでは、フォーマットがない場合の退職届への記入方法をご紹介させていただきます。
フォーマットがない場合
本人都合で退職を行う場合、まず退職をしたいという旨を直属の上司へ伝えます。この作業がまず退職願になるのですが、退職届とは違い口頭や文章での通達を行います。退職願が受理されて初めて退職届の記入に移行します。
退職届を記入してくださいと指示があったものの、企業によってはフォーマット自体がないこともありますので、フォーマットがない場合はA4やB5用紙をまず用意しましょう。
A4やB5用紙に縦書き
A4やB5用紙を用意したら、用紙の右側から縦書きで必要事項を記入していきます。記入する項目は限られていますし、長々と退職事由を記入する必要もありません。とても簡単に誰でも記入することができますので、安心して手順を踏んでいきましょう。
なぜ縦書きの記入なのかと言いますと、縦書きの文書は格式を重んじる文書に最適な形であるためとされており、ビジネス的なマナーの要素が含まれているからです。
手順1:一行目中央に退職届と記入
ビジネス的な横書きの文書でもタイトルを中央に記入しますが、縦書きの文書でも同じくタイトルを中央に記入します。右端中央にバランスよく「退職届」と記入をしましょう。
手順2:二行目最下部へ私儀と記入
タイトルの記入が終わったら、二行目の最下部へ「私儀」と記入をしましょう。「私儀」とは挨拶状に使用される正式な文言であり「自身に関して述べます」と表明するために書き出しに使用される文言です。読み方は「しぎ」ではなく「わたくしぎ」となります。
手順3:三行目から四行目にかけて退職事由を記入
二行目に私儀の記入をしたら、三行目から四行目にかけて退職事由を記入していきます。書き出しから退職事由を記入するのではなく、書き出しは「このたび」となりますので注意しましょう。
退職事由が自身の都合と会社都合で異なってきますが、まずは自身の都合で退職をする場合の例文を紹介します。
「このたび、一身上の都合により、勝手ながら、◯年◯月◯日をもって退職いたします。」ここまでが三行目から四行目となります。
手順4:五行目に届け出の年月日を記入
三行目から四行目にかけて退職事由を記入したら、次は届け出の年月日を記入しましょう。
通常、実際に届けを提出する日付を記入するのですが、企業によっては届け出年月日を指定される場合がありますので、自分にとって不都合がない限り、企業に指定された日付を記入しましょう。
手順5:宛名より下に自分の所属部署と氏名
日付の記入までが完了したら、次は所属部署と氏名の記入を行います。所属部署と氏名は分けて書くこと、記入位置は退職事由より下で、退職届の届の文字から一文字下から記入すると綺麗に見えます。
所属部署を記入したら所属部署の最後の文字に被るよう行をずらし氏名を記入していきます。
氏名を記入したのち、必ず印を押しましょう。日本は印鑑社会なので、印を忘れてしまうと正式な文書になりません。
手順6:最後に宛名を記入して完成
宛名は必ず自分の氏名より上の位置に記入しましょう。宛名を自分の名前よりも上の位置に記入することで、遜った形式の文書となります。
まず企業名を記入し、一つ行をずらして退職する企業の最高執行責任者の役職と氏名を記入します。氏名を記入したら最後に敬称の「殿」をつけて完成です。
退職事由の書き方
前項でも述べたように、退職事由は自己都合での退職と会社都合の退職では記入方法が変わってきます。会社都合の退職であるのにも拘らず、一身上の都合で退職と退職事由を記入してしまうと、勝手に自己都合での退職扱いとなってしまう可能性がありますので、注意しましょう。
ここでは会社都合での退職事由の書き方をメインにおき、自己都合退職の場合においては少し注意が必要な場面もありますので、併せてご紹介していきます。
会社都合の退職の場合
会社都合の退職の場合、退職事由は会社との相談で退職事由の記入が決まることが多いことでしょう。例えば、会社の業績が上がらず経営不振に陥ってしまった場合、どうしても人員削減をしなければならなくなったなど、会社からお願いをする形で退職を促されるような形になります。
こういった場合、退職事由は「このたび、業績不振に伴う◯事業所閉鎖のため」や「事業所縮小のため」、「早期退職のため」と記入することが一般的です。
自分の都合で退職する場合
一般的には自己都合で退職する場合、退職事由は「一身上の都合で」と記入することが通例となっています。ただし、その自己都合での退職は本当に自分で意思表示を行い決定したものでしょうか。
もし会社から自己都合での退職を促されているようでしたら注意が必要です。まずは自分の心と向き合い、本当に自己都合で退職するのかよく考えましょう。
そうでない場合、会社と自分自身が納得するまで話をして退職事由を記入しましょう。
その他の退職事由の書き方

退職届や退職願、その他にも退職事由を記入しなければならないものがあります。代表的なものですと、履歴書や職務経歴書など、求職関連の書類が挙げられます。
こういった書類の場合、どのように記入していくことが望ましいのか、例文を併せて紹介させていただきますので、参考にしてみてください。
職務経歴書
転職活動をしていると、職務経歴書の提出を求められることもあります。前述のように履歴書のみの提出が求められる面接では退職事由を履歴書に記入するのですが、職務経歴書の提出を併せて求められている場合においては、退職事由を履歴書ではなく職務経歴書に記入します。
職務経歴書では、履歴書のように退職事由を簡易的に記入するのではなく、なぜ辞めたのかをきっちりと説明がつくように記入することが望ましいでしょう。
履歴書
面接では必ずといっていいほど履歴書の提出を求められますが、職歴をみた面接官が質問することと言えば、前職をなぜ辞めたのかという質問です。職歴の間に退職事由を挟むことで、特に会社都合の退社の場合、会社都合であれば致し方ないと面接官に与える印象が格段に変わります。
記入方法は職歴の間に「自己都合による退社」もしくは「会社都合による退社」と簡易的に記入し、履歴書のみの面接では退社理由を口頭で説明しましょう。
まとめ。退職事由の書き方を知ろう

今、あなたが手にした知識が、明日のあなたを救う。
ここまで読み進めてくださったあなたは、もう退職届の書き方で失敗することはないでしょう。しかし、油断は禁物です。最後に、絶対に忘れてはならない重要なポイントを刻み込んでください。
退職事由の書き方――。たったこれだけのことが、「自己都合」と「会社都合」で全く異なるということを、あなたは今、理解しました。この違いを知らなければ、数十万円、場合によっては百万円以上の損失を被る可能性があったのです。
会社都合の退職であるにもかかわらず、自己都合として処理されてしまう――。
このような理不尽な事態を避けるために、必ず会社と綿密に相談し、退職届に記入する文章を慎重に決定してください。あなたの権利を守るのは、あなた自身の知識と行動力です。会社の言いなりになる必要はありません。正当な権利は、堂々と主張すべきなのです。
しかし、退職事由の重要性は、退職届を提出する瞬間だけに留まりません。ここからが本当に重要な話です。
あなたが次に向かうのは、新しい職場。その扉を開くためには、履歴書や職務経歴書という武器が必要になります。そして、その武器に記載される「退職事由」が、面接官の第一印象を大きく左右するのです。
「自己都合退職」と書かれた履歴書と、「会社都合退職」と書かれた履歴書。面接官はどちらにより好印象を抱くでしょうか?答えは明白です。会社都合であれば、「この人は会社の経営状況の犠牲者だ」と理解されます。しかし、自己都合と書かれていれば、「なぜ辞めたのか?何か問題があったのでは?」と疑念を持たれる可能性があるのです。
つまり、退職届に何を書くかは、単なる事務手続きではありません。それは、あなたの次のキャリア、人生の次章を左右する重大な決断なのです。
今こそ、冷静に、慎重に、そして戦略的に行動する時です。届出書類や求職活動の書類に退職事由を記入する際には、必ず今日学んだ知識を思い出してください。
一度書いた文字は、消せません。
後悔しても、時間は戻りません。だからこそ、今この瞬間、正しい判断をすることが何よりも大切なのです。
あなたの退職は、失敗ではありません。新たな可能性への第一歩です。その一歩を、最高の形で踏み出すために――退職事由の書き方を正しく理解し、自分の権利を守り、未来への扉を自信を持って開いてください。
知識は力です。そして今、あなたはその力を手にしました。さあ、前を向いて、新しい人生を掴み取りましょう。あなたの未来は、あなた自身の手の中にあるのですから。

