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派遣切りでむかつくとか言わない。業績悪化で契約満了は当たり前のこと。

【体験談】派遣切りが行われた職場の実態と派遣社員の心情 派遣

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『派遣切り』というワードが有名になったのは、2008年に起きたリーマン・ショックに端を発する、日本の派遣社員が大量に解雇された出来事がキッカケでした。

さらに2020年のウイルス感染拡大によって、同様に派遣社員が大量解雇されて改めて取り上げられるように。

そして現在も、この派遣切りは至るところで実施されています。

僕自身、過去に働いていた会社で派遣切りが行われ、とても複雑な気持ちになったのを覚えています。

本記事では、僕が体験した派遣切りの実態について、そこに至るまでの当時の経緯を生々しくお話します。

 

実際に派遣切りで契約満了となった体験談:繁忙期篇

【体験談】派遣切りが行われた職場の実態と派遣社員の心情

僕がその会社に派遣社員として入ったのは、ちょうど会社が繫忙期を迎える少し前の時でした。

創設して数年のいわゆるベンチャー企業で、人も設備もロクに揃っていない「会社と呼べるのかここ・・・?」というような状態で、ここで働いて大丈夫なのかと不安になるレベル。

そんな当時の職場において、派遣社員の境遇は以下のような状況でした。

 

派遣社員を大量採用

とにかく人手が足りず、毎日バタバタしていました。

ロクに体制が整っていないため、『新人への研修』という概念がなく、初日からいきなり先輩の派遣社員に業務をOJTで教わり、その場でどんどん実践していくスタイル。

僕の他にも連日のように派遣社員が入ってきて、正直誰が誰だか区別がつかない状態だったのを覚えています。

派遣社員なので入れ替わりも激しく、2か月も経つと僕が新人さんにOJTをする側になるという、普通の会社なら有り得ないこともしていました。

ただ、結果的に相当な数の派遣社員が職場に増員されて、途中で手狭になりすぎてオフィスが広い場所へ移転するなど、まさに発展期だったのでしょう。

 

原則は全員契約更新

派遣社員は基本的には1~3か月ごとに、契約の更新時期を迎えます。

本人の勤怠・業務態度・能力評価などを総合的に見られ、更新されるか否かが決定されます。

当時から勤怠が悪い人、仕事への意欲や能力が明らかに不足していると分かる人もそこそこいました。

しかしこの時期は、よほどの酷さでない限り、契約は更新されるのが原則だった印象です。

そのため「何でこいつが切られないんだ・・・?」と、疑問に思ってしまう人も少なくなかったです。

逆にこの時ですら切られてしまった人は、本当にヤバいということですね。

 

指摘・FBは皆無

どんな仕事でも、上司から受ける指摘やFBは重要なものです。

それが個々の能力を向上させ、結果的に職場全体のクオリティを上げることになるからです。

しかし、そうした指摘やFBがされることは、ほとんどありませんでした。

1度だけ面談があったものの、「いつまで続けてくれるか?」といった話が主で、業務に関する評価も明確に示された記憶がありません。

1か月に1度程度、上司からチャットで「これ良かったから、引き続きよろしくね!」という感じで、自分の担当した仕事を謎に褒められることがあったくらいです。

ロクに体制が整っていなかったとはいえ、ここまで何もしない会社も恐ろしいと思いました。

 

実際に派遣切りで契約満了となった体験談:安定期篇

【体験談】派遣切りが行われた職場の実態と派遣社員の心情

慌ただしい繫忙期も落ち着き、みんなが安堵し始めた頃。

ここから職場の様子が徐々に変わり始め、派遣切りへの布石が打たれて、そして実行されました。

 

ルール・制度の厳格化

以前とは比べものにならないレベルで、職場でのルール・制度が非常に厳しくなっていきました。

正確には厳しいというより、会社として本来であれば当然必要なものですが、それが急に定められてきたのです。

例えば喫煙は昼休み中のみ可能とか、欠勤や遅刻をする時は必ず職場へ電話連絡するなど(それまではWebフォームの提出のみでOKでした)。

曖昧になっていた細かい部分まで全て明確に明文化されて、この時は「ようやく体制が整ってきたのか」と思う程度でした。

 

派遣会社への通達

僕が入った当初から、派遣社員の勤怠の悪さは目立っていました。

欠勤者が1日に3~4人いるのは当たり前で、遅刻する人も多く、ちゃんと出勤しているメンバーに負担がのしかかっていたのです。

にも関わらず繫忙期にはそのことで派遣先からは何も通達などなく、現場はその状態で何とか毎日回してたというのが実情でした。

しかし安定期になると、ある日派遣会社から以下のような通達が届いたのです。

「派遣先より勤怠の件で注意喚起がありました。理由の如何を問わず今後勤怠が悪く改善が見られない派遣社員は、契約更新しない可能性があります。」

今まで現場の負担を見向きもしていなかったにも関わらず、ここにきて突如大きく勤怠の問題に踏み込み、契約更新の話にまで触れてきたのです。

そしてここから派遣切りが一斉に始まりました。

 

大量の派遣切り

はじめに切られたのは、それまで勤怠が悪く何度か派遣会社から注意されていた人。

さらに週に2~3日ほどの出勤しかしていなかった、他でメインの仕事を持っている人も更新を打ち切られました。

中には週4~5日で出勤している人でさえ、切られてしまったというケースも。

以下の記事でも解説していますが、派遣社員も法律である程度は守られており、何の理由もなく派遣先が一方的に更新を打ち切ることはできません。

一般的に社会通念上相当の理由がなければいけないのです。

派遣先がどのような理由で派遣会社へ打ち切りを通達したのかは不明ですが、おそらくかなり強引な形でもっていったのだろと推察されます。

まさか自分のいる職場で派遣切りの現実を見ることになるとは思いもしませんでした。

 

直雇用への入れ替え

派遣切りを大量に行えば、当然その分人員は減ります。

しかしそれほどまでに過剰な人数だったわけではないため、この穴埋めをどうする気なのか、現場では疑問の声も挙がっていました。

ここで出てきたのが、アルバイトや契約社員といった直雇用の人達です。

つまり派遣社員から直雇用の人員へ入れ替えて、派遣先が自社運用で回す形にしようと画策していたようです。

そうすれば派遣会社とのやり取りやマージンの支払いなど、コストの削減が図れて身軽になります。

これまで派遣社員を便利な人員の調整弁として利用してきましたが、もう必要なくなったということだったのでしょう。

 

むかつく!派遣切りにおける派遣社員の心情

【体験談】派遣切りが行われた職場の実態と派遣社員の心情

派遣切りがされていく職場で、当の派遣社員はどんな気持ちなのか、気になる方もいると思います。

ここからは、当時の僕の心情をそのままお話します。

 

同僚がいなくなっていく悲しさ

正直なところ、当時の職場での派遣社員同士の繋がりは、決して深くありませんでした。

お互い世間話はするものの、プライベートで遊ぶことはごく限られた人しかなく、ほとんどは職場だけの付き合いです。

なので「今月末でいなくなる」とか「今日で最後」などということも言わず、静かに辞める人もたくさんいます。

しかしいざそうなると、それまで一緒に頑張ってきた人と「もう二度と会うことはないんだ」と実感し、悲しい気持ちになりました。

 

次は自分ではないかという不安

周囲の人が続々と切られていく姿を見て、「もしかしたら次は自分かもな」という不安は、常に持っていました。

契約の更新有無が知らされるのは、基本的に終了日の1か月ほど前です。

そのため、この時期は切られた時のために、これからの自分の身の振り方を考えていました。

それは僕以外の人達も同じで、「いつ切られるのかな?」と休憩時間などよく話していたものです。

 

むかつく!派遣先への不信感の増大

契約更新の有無を決定しているのは、当然派遣先の上層部です。

ただ、彼等の意図や思惑がこちらに伝えられることは一切ないので、これから派遣社員をどうするつもりなのかも分かりません。

そんな状況で派遣先を信じることなどできず、派遣社員は不信感を募らせ、職場の雰囲気は確実に悪くなっていました。

また、既に契約の打ち切りが決まっている派遣社員の中には、明らかにやる気を無くして適当にやっている人も。

現場にいる管理職のリーダーは、その状況に「これが会社として目指していた姿なのか・・・?」と、上層部のやり方に怒っていたのは今でも印象的です。

 

業績悪化で契約満了は当たり前

【元管理職が解説】不機嫌な上司のせいで仕事を辞めたいあなたが知っておくべき原因と対策

 

企業の業績が悪化した際に、派遣社員から先に契約を終了させるという対応は、多くの職場で一般的なものとして受け止められています。

この現象は一見すると非情に思われますが、その背後には労働市場の構造や雇用契約の性質、企業経営におけるリスク管理など、複数の要因が関係していると考えられます。もともと派遣労働という働き方は、企業が人員の機動的な調整を目的として利用する制度であり、契約期間の柔軟さが特徴となっています。派遣先企業は繁忙期には必要な人員を補い、閑散期には契約満了に合わせて人員規模を調整できます。この特性が、業績悪化時に派遣契約の終了が優先されやすい構造を生み出しているのです。

 企業が雇用を守るうえで最も重視するのは、一般に「正社員」という長期雇用を前提とした労働力です。

正社員には教育投資が積み重ねられ、企業独自のノウハウや業務知識が蓄積されています。こうした人材を維持することは、企業の競争力を保つために不可欠です。そのため、経営が悪化した場合には、まず固定費の削減や一時的なコスト抑制策が検討され、それでも改善が見込めないときに、柔軟に調整できる雇用形態である派遣労働者の契約終了が選択されやすくなります。また、派遣社員は派遣元との契約に基づいて働いているため、契約の終了手続きが比較的明確で、法的リスクも一定範囲に収まる点も、企業側が判断しやすい理由となっています。

 一方で、このように「派遣切りが当たり前」という状況には、多くの課題も存在します。

派遣社員の多くは生活の基盤として安定した収入を求めて働いており、契約終了は突然の収入減につながる深刻な問題です。また、景気が悪化するたびに非正規雇用の人々が先に不安定な状況に追い込まれることは、社会全体の格差拡大や不安定雇用の固定化につながるおそれがあります。派遣労働が持つ柔軟性は企業にとって利点ですが、個人にとっては不安定さとして現れることが多く、このギャップこそが「当たり前」とされる現象の背景に潜む課題だと言えます。

 近年では、派遣労働者の処遇改善や雇用安定化を図るための制度整備も進んでいます。たとえば、同一労働同一賃金の原則や雇用安定措置などは、派遣社員が不当な扱いを受けないようにするための仕組みとして機能しています。しかし、制度の整備だけで課題が完全に解消されるわけではありません。企業にとっては依然として景気変動に合わせて柔軟な人員調整を行う必要があり、派遣労働の位置づけが大きく変化しているとは言い切れないからです。つまり、派遣切りが「当たり前」と受け止められやすい背景には、制度と現場の運用、企業の経営上の必要性、そして労働市場の構造といった複合的な要素が絡み合っていると言えます。

 このように、派遣契約の終了が景気悪化に伴って起こりやすいという現象は、単に企業の冷徹さだけでは説明できません。

派遣労働の仕組みや経済構造が生み出す必然的な結果として理解する必要があります。同時に、その状況を当然のものとして受け入れるのではなく、より安定した働き方を求める個人のニーズや、多様な雇用形態が共存できる社会のあり方について考えることも重要です。派遣切りが「当たり前」とされる現実を直視しつつ、その改善に向けてどのような取り組みが可能なのかを模索することが、今後の労働環境をより良いものにしていくための鍵となるでしょう。

 

派遣社員に『当たり前の毎日』はない

【体験談】派遣切りが行われた職場の実態と派遣社員の心情

 

この一連の出来事を通じて僕が改めて痛感したのは、「派遣社員に当たり前の毎日はない」ということです。

非正規雇用であり、派遣先にとっては都合の良い駒でしかないことは、重々承知の上でした。

しかし、いざ派遣切りされていくのを目の当たりにして、それを初めて実感したのがこの時です。

 

もし本記事を読んでくださっている方の中で、現在派遣社員として働いている、もしくは派遣社員として働く予定がある方がいたら。

派遣社員はいつ何が起きてもおかしくない立場であり、派遣切りというは決して他人事ではないということを、くれぐれも忘れないでほしいと思います。

そしてだからこそ、いざという時のために備えて努力し続けなければなりません。

 

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